4: 2015-07-31 (金) 15:49:20 osinko |
5: 2015-08-01 (土) 01:01:55 osinko |
| **数列の極限 [#o93d507c] | | **数列の極限 [#o93d507c] |
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- | ここでは数列の極限の定義をεδ論法の視点から見直して、より精密にどのようにlimが正常動作しているか把握してみる | + | ここでは数列の極限の定義をεδ論法の視点から見直して、より精密にどのようにlimが動作しているか把握してみる |
| まず高校で習う数列の極限の定義をみてみる | | まず高校で習う数列の極限の定義をみてみる |
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| 次にこの数列の極限の定義に対するεδ論法の各命題を見てみる | | 次にこの数列の極限の定義に対するεδ論法の各命題を見てみる |
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- | &font(,#ffffcc){①\(\forall \varepsilon >0\quad ,\quad \exists \delta \in \mathbb{N}\quad s.t.\quad \forall n\in \mathbb{N}\quad ,\quad n>\delta \quad \Rightarrow \quad \left| { a }_{ n }-a \right| <\varepsilon \)&br;②\(\forall \varepsilon >0(\exists \delta \in \mathbb{N}(\forall n\in \mathbb{N}(\forall n>\delta (\left| { a }_{ n }-a \right| <\varepsilon )))) \)&br;③どんな正の数\(\varepsilon\)に対しても、自然数\(\delta\)をうまく定めると、\(n>\delta \)であるどんな自然数\(n\)に対しても\(\left| { a }_{ n }-a \right| <\varepsilon \)となる}; | + | &font(,#ffffcc){①\(\forall \varepsilon >0\quad ,\quad \exists \delta \in \mathbb{N}\quad s.t.\quad \forall n\in \mathbb{N}\quad ,\quad n>\delta \quad \Rightarrow \quad \left| { a }_{ n }-a \right| <\varepsilon \)&br;②\(\forall \varepsilon >0(\exists \delta \in \mathbb{N}(\forall n\in \mathbb{N}( n>\delta (\left| { a }_{ n }-a \right| <\varepsilon )))) \)&br;③どんな正の数\(\varepsilon\)に対しても、自然数\(\delta\)をうまく定めると、\(n>\delta \)であるどんな自然数\(n\)に対しても\(\left| { a }_{ n }-a \right| <\varepsilon \)となる}; |
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| ①②③は表現が違うだけで全部同じことを言っている。但し②は括弧の中を優先的に計算していくという数学の性質上、計算の工程順が明確なので一番優れた表現となると考えられる(当サイトでは②の表現をメインに利用していく方針) | | ①②③は表現が違うだけで全部同じことを言っている。但し②は括弧の中を優先的に計算していくという数学の性質上、計算の工程順が明確なので一番優れた表現となると考えられる(当サイトでは②の表現をメインに利用していく方針) |
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| + | この論証を視覚的に説明したのが以下の図となる |
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| これらの命題はゲームプログラマーというエンジニアの視点から見るとlimが正常に動作するための要求仕様(必要動作条件)になっている | | これらの命題はゲームプログラマーというエンジニアの視点から見るとlimが正常に動作するための要求仕様(必要動作条件)になっている |
- | この要求仕様は数学者が使う論理学の論証、前提となる複数の命題というフォーマットで書かれている | + | この要求仕様は数学者が使う論理学の論証、前提となる複数の命題というフォーマットで書かれていて全体を車に例えれば |
- | //この論証は結論の命題が抜けた状態となっていて証明する人間自身が適切なものを用意して補う必要がある状態になっている | + | ボディや座席周り、エンジンが揃った状態で、エンジンパーツのクランクシャフトだけが抜けているような感じになっている |
- | この論証は車に例えればボディや座席周りが揃った状態で、エンジンだけが抜けているような感じになっている | + | |
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| 何故、こんな中途半端な状態になっているかというと、これは完成していない雛形(form)だからだ | | 何故、こんな中途半端な状態になっているかというと、これは完成していない雛形(form)だからだ |
| 状況に合わせて、このテンプレートの内容(contents)をちょこちょこと書き換えて使う為の物だ | | 状況に合わせて、このテンプレートの内容(contents)をちょこちょこと書き換えて使う為の物だ |
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- | 利用者は、この論証が要求する仕様(必要動作条件)に合わせて、うまく定めたエンジンを作りガポッとはめ込むとlimが動き出す | + | 利用者は、この論証が要求する仕様(必要動作条件)に合わせて、うまく定めたクランクシャフトを作りエンジンにガポッとはめ込むとlimが動き出す |
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| + | この「数列の極限」という車の場合、エンジンとなる部品は主に、無限の自然数を前提とした\(n\)、正の数、自然数を前提とした\(\varepsilon\)、\(\delta\)である |
| + | 特に中心となる\(\varepsilon\)と\(\delta\)は数学用語で「\(\varepsilon\)に対応する\(\delta\)」(\(\delta\)が\(\varepsilon\)の関数として定まる)関係にある |
| + | つまり、\(\varepsilon\)の値が変化すれば、それに伴い\(\delta\)の値も必ず変化するという関係を約束されている |
| + | それを記述しているのが「&font(,#ffffcc){ \(\forall \varepsilon >0\quad ,\quad \exists \delta \in { \mathbb{N} }\) };」の部分となっている |
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| + | 構造は大体わかった。ではどうやってクランクシャフトを作ればいいのか? |
| + | これにはエンジンの動作原理となる「アルキメデスの原則」や「三角不等式」を理解しておく必要がある |
| + | 少し脇道にそれて、εδを使って「アルキメデスの原則」を考察してみよう |
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| + | ***ふたつの正の数εとδを考える(アルキメデスの原則) [#o91f2e1e] |
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| + | &font(Red){''\(\varepsilon\)が如何に小さい数で、\(\delta\)が如何に大きな数であったとしても\(n\varepsilon < \delta \)となる自然数\(n\)が必ず存在する。これをアルキメデスの原則と言う''}; |
| + | (&font(Red){要約するとこの原則は\(n\rightarrow \infty \)である事を肯定している。};虚数の様に現実の世界に無限である目に見えない確認できない存在を認めている) |
| + | この事から、もし正の数\(\delta\)と勝手な自然数\(n\)に対して\(\displaystyle \varepsilon <\frac { \delta }{ n } \)が成り立つならば\(\varepsilon=0\)となる |
| + | (\(\displaystyle \varepsilon <\frac { \delta }{ \infty }\)が成り立つという事は\(\varepsilon=0\)とならざる得ない ) |
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| + | 何故なら、上式は |