微積分と物理​/実数の定義 のバックアップの現在との差分(No.1)

Unity学習帳2冊目微積分と物理 / 実数の定義 のバックアップの現在との差分(No.1)
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1: 2015-09-29 (火) 21:01:00 osinko ソース 現: 2015-11-04 (水) 22:28:03 osinko ソース
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-TITLE:実数の定義+#jsmath 
数は数直線状の切断によって「表現される」。この切断をデデキント切断と言う 数は数直線状の切断によって「表現される」。この切断をデデキント切断と言う
 +&ref(liner1.png);
 +数直線上の\(1\)を基準にふたつの有理数の集合に切断してみる。片方を\(A\)、もう片方を\(B\)とする
 +&font(Red){このふたつの集合を組みにした\((A,B)\)を「切断」と呼び、''切断そのものを理論上の「実数」とみなすことにする''};
 +(\(A\)と\(B\)は同じ値として扱われる。好みで、どちらの表現をしても良い)
 +切断は以下の論理命題で定義される
 +
 ++\(\mathbb{Q}=A\cup B\)
 ++\(A\cap B=\emptyset ,A≠\emptyset ,B≠\emptyset \)
 ++\(a\in A,b\in B\quad \Rightarrow \quad a\le b\)
 ++\(A\in \mathbb{Q}\quad ,\quad A≠\mathbb{Q} \)
 ++\(A\)には最大値が無い
 ++\((a\in A\quad \wedge \quad t\in \mathbb{Q} \quad \wedge \quad t<a)\quad \Rightarrow \quad t\in A\)
 +
 +\(A\)と\(B\)を合わせた集合は有理数の集合となる。これらは空集合を含まない
 +\(a\)が\(A\)の集合に属し、\(b\)が\(B\)の集合に属すならば、\(a\le b\)が成り立つ
 +\(A\)は有理数で、有理数の全体と同じではない。つまり有理数\(\mathbb{Q}\)の部分集合
 +\(A\)は最大値を持たないが認識できる有理数\(t\)よりも大きな値\(a\)を見つける事により無限に大きくなり続ける。従って集合\(A\)は上界を持つ
 +
 +切断の境目は無理数である場合と、有理数の場合である時の2種類がある
 +&ref(number1.png);
 +有理数の場合は、その境目をどちらかの集合に入れて置く事になるので、ここでは集合\(B\)に入れる事に決めた
 +
 +上記の条件を踏まえて実際に\(1\)を基準に切断すると、その切断の境目は有理数の\(\frac { 3 }{ 3 } \)となる為以下になる
 +\(切断\left( \quad A:=\left\{ a\in { \mathbb{Q} }|a<1 \right\} \quad ,\quad B:=\left\{ b\in { \mathbb{Q} }|b\ge 1 \right\} \quad  \right) \quad \Rightarrow \quad 切断\left( \quad \frac { 1 }{ 3 } \times 3=0.\dot { 3 } \times 3=0.\dot { 9 } \quad ,\quad \frac { 3 }{ 3 } =1\quad  \right) \)
 +\(\Rightarrow \quad 切断\left( \quad 0.\dot { 9 } \quad ,\quad 1 \quad  \right) \)
 +&ref(liner2.png);
 +
 +&font(Red){''\(a\)は有理数なので以下のようにも表せる。このように考えると実数と有理数、極限の関係が掴めてくる''};
 +&font(Red){\(\displaystyle a\quad =\quad \lim _{ n\rightarrow \infty  }{ 1-\frac { 1 }{ { 10 }^{ n } }  } \quad =\quad 0.\dot { 9 } \)};
 +
 +補足:
 +\(a= \lim _{ n\rightarrow \infty  }{ 1-{ \left( \frac { 1 }{ { 10 } }  \right)  }^{ n } } \)も同様になる&br;\(a= \lim _{ n\rightarrow \infty  }{ { \left( 1-\frac { 1 }{ { 10 } }  \right)  }^{ n } } \)等とすると式の意味が全く変わってくるので注意(この場合は二項定理が必要になってきて計算結果も大きく変わる)
 +
 +このように切断により集合\(B\)に必ず最小値の端を持つ事になり集合\(A\)と重なって数としての穴は開かないようになる。つまり「実数の連続性」はこれによって得られる
 +ここで、この理屈が正しいことを計算機を使って確認してみる(実際に計算機を用意して以下を試す)
 +
 +\(1\div 9=0.11111...=0.\dot { 1 } \\ 2\div 9=0.22222...=0.\dot { 2 } \\ 3\div 9=0.33333...=0.\dot { 3 } \\ \quad \quad \quad \vdots \\ 8\div 9=0.88888...=0.\dot { 8 } \\ 9\div 9=0.99999...=0.\dot { 9 } =1\)
 +
 +有理数の境目を使って\(切断(A,B)\)を利用すると「切断( 連続として重なっている隣の点の実数表現 , ジャストの有理数表現 )」が得られる。\(A\)も\(B\)も有限の紙の上で書ける表現となる。反対に紙に書けない無理数のような無限に続く実数の値は一端、有理数の近似値にして近似の実数を得るしかない
 +
 +**その他の証明 [#g5a9868f]
 +
 +***上記の証明の逆パターン。この証明でも切断の境目はどちらかの集合に含まれている [#zf85bae1]
 +
 +どんな実数\(r\)に対しても、\(r\)より大きい有理数\(a\)と、\(r\)より小さい有理数\(b\)がある
 +
 +\(r\in \mathbb{Q}\quad ,\quad r≠\mathbb{Q}\quad ,\quad r≠\emptyset \)
 +
 +\(r\)は有理数の部分で空集合でない
 +
 +\(r\left( a,b \right) =\left( \left\{ a\in \mathbb{Q}\wedge a\notin r|a>r \right\} ,\left\{ b\in \mathbb{Q}\wedge b\in r|b\le r \right\}  \right) \)
 +
 +\(r\)は有理数の部分集合なので\(a\notin r\)であるような有理数を勝手に取る。&font(Red){\(a\)を実数としてみると\(a>r\)となる。};\(b\)は\(b\in r\)となるような値を取る。実数の定義を切断を使うと、このように証明できる
 +
 +***無理数の場合 [#oc98dfc1]
 +
 +\(r\)が無理数と考えた場合、こうなる?(あってるかわからない)
 +切断の境目がどちらの集合の中にも含まれていない。有理数の切断が二つの組に最大値も最小値も作りえない時、その"切断"が無理数を定義する
 +
 +\(r\left( a,b \right) =\left( \left\{ a\in \mathbb{Q}\wedge a\notin r|a<r \right\} ,\left\{ b\in \mathbb{Q}\wedge b\notin r|b>r \right\}  \right) \)
 +
 +自然数から整数、整数の比から有理数になり、有理数の切断から無理数が生まれ実数となる
 +無理数が切断の境目に使用された場合、数の隙間が発生する。この隙間を埋め続けるような「永遠に割り切れない循環しない数=無理数」となる
 +
 +#hr
 +
 +資料:「虚数の情緒」P454はこのデデキント切断を指して説明している
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