\({a}_{n+1}=p{a}_{n}+q\)型
要点を最初にまとめて書いてしまうとこうなる
- \({a}_{n+1}=p{a}_{n}+q\)の形式をした二項間漸化式は等比数列、指数関数グラフとなる
- \(p{a}_{n}\)部分から純粋な切片が無い公比、指数関数の底、つまり一般解が取り出せる
- 特性方程式から導いた特殊解から一般解の切片が取り出せる
- 特殊解は一般解(指数関数の底)に対し初項位置と\(y\)の切片に対し適用する。これにより一般解のグラフは形を保ったまま位置がズレる
結果、漸化式の数列が生み出す指数関数グラフと新しく作った一般項の式のグラフは完全に重なる事となる
(少し特殊なやり方で式を変形していると言える)
ちょっと解り難いので順番に考えて行く。まず1.と2.を確認してみる。一番単純なケースとして
初項 \({a}_{1}=1\)
漸化式 \({a}_{n+1}=2{a}_{n}+0\)
という式を考えてみる。この数列は \({a}_{n}=\left\{ 1,2,4,8,16,32,64,128,256,512,1024,2048,4096,\cdots \right\} \) となる。グラフは下図のようになる
Wolframで計算(この場合グラフは対数グラフで表示されています)
基礎/PocketCASのメモのリンクにて漸化式のグラフ作成を説明しています
この数列とグラフは等比数列の一般項の公式、\({ a }_{ n }={a}_{1}{ r }^{ n-1 }\)より\({ a }_{ n }=1{ \cdot 2 }^{ n-1 }={ 2 }^{ n-1 }\)と合致する
\({a}_{n}\)の数列と混同してわかりにくいので、こちらの式は名前を変えて\({b}_{n}={2}^{n-1}\)としておきます。これを一般解と呼ぶ
この\({b}_{n}\)の数列も \({b}_{n}=\left\{ 1,2,4,8,16,32,64,128,256,512,1024,2048,4096,\cdots \right\} \) となる
この\({a}_{n}\)と\({b}_{n}\)のグラフは同時に表示すると完全に重なる(図の青い線が\({a}_{n}\)、赤い線が\({b}_{n}\))。つまり間接的に式の変形が出来ているという事になる
この「型」の漸化式であれば、このような変換が可能であるという事がグラフ図からわかっている、という事です
次に3.と4.を考えますが、その為に少し漸化式を複雑にします。例題として
\({ a }_{ 1 }=2\\ { a }_{ n+1 }=3{ a }_{ n }+4\)
という漸化式を考えてみます。この数列は\({a}_{n}=\left\{ 2,10,34,106,322,970,2914,8746,26242,78730,\cdots \right\} \)となり
その一般解は\({a}_{1}=2\)と\(p{a}_{n}\)より初項\(2\)、公比\(3\)の等比数列、つまり\({b}_{n}=2 \cdot {3}^{n-1}\)となる事がわかっています。これをグラフで見てみると下図のようになっている
このグラフ図から「双方の線は同じ形状でありながら位置のズレがある」事がわかる
つまり一般解を漸化式のグラフと重ねたいなら切片位置を合わせればいいという事です。位置のズレはy切片、x切片、両方にある
この切片位置を抽出する為にこの漸化式の型に合った特性方程式を利用します
\({ a }_{ n+1 }=3{ a }_{ n }+4\) より 特性方程式は \(\alpha =3\alpha +4\)となり\(\alpha\)に対して解くと\(\alpha=-2\)となる。この\(\alpha\)を特殊解と呼ぶ
この値を一般解の切片と初項に対して位置合わせで適用する。結果式は、\((2-\alpha ){ 3 }^{ n-1 }+\alpha\)となり、これに特殊解を当てはめると
漸化式を一般項にした式は\(\left\{ 2-(-2) \right\} { 3 }^{ n-1 }+(-2)\quad =\quad 4\cdot { 3 }^{ n-1 }-2\) となる。この数式が出力する数列をグラフ表示させると
完全に漸化式と一般項のグラフが重なっている事が確認できる
青色が漸化式。緑が一般項。赤が一般解
特性方程式の証明方法はネットで調べると幾つか出てくるので、ここでは割愛する
グラフでの意味を視覚的、感覚的に掴んでから証明を見た方が腑に落ちて理解しやすいと思い、ここにメモっておく