論理はどのような恩恵をもたらすのか?
規則や法則に従って正しく行動しているのに当人は、その規則や法則が分らない事がよくある
例を挙げると日本語の「連濁」などがあげられる
<連濁>
「犬小屋」→「いぬごや」のように下の語が濁る(犬+小屋)
「巣籠り」→「すごもり」(巣+籠り)
「ファミコン通信」→「ふぁみこんづうしん」にはならない(ファミコン+通信)
我々は、どのようなふたつの語が組み合わさると濁るか、全く無意識のうちに区別できる。これは今まで出会った事の無い全く新しい語に対しても正しく区別できてしまう
水星でカニのような生物を見つけたら、たぶん「すいせいがに」と呼ぶだろう。では、あなたは、この法則や規則性を説明できますか?
なにをすれば正しく、何をすれば間違っているかを明示的に示す
これには論理的判断を分析して考え「論理的に正しい法則」を見つけだすことに繋げられる
論証の正しさをどのように求めるのか?
論理は、おおまかに幾つかの「命題」で構成され、ひとつの「論証」を形作るのが一般的となっている
命題 | 論証 |
前提となる部分パーツ | 全てのパーツを合わせた主張(結論) |
真(true)/偽(false) | 妥当である(valid)/非妥当である(invalid) |
論証の正しさを命題の真偽と区別してみる
いくつか論証を並べて考えてみる
論証のサンプル
<論証1>
(1)ドヴァンキンは膝に矢を受けていない男である
(2)衛兵は膝に矢を受けた男である
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(3)ドヴァンキンは衛兵ではない
この場合、(1)(2)が命題、(3)が結論の命題となる。(1)と(2)は真。(3)もその主張は妥当と言える。従ってこの論証は合格と言える
<論証2>
(1)宮沢賢治は「テトリス」の制作者である
(2)「テトリス」の制作チームはみんなアレクセイ・パジトノフを知っている
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(3)宮沢賢治はアレクセイ・パジトノフを知っている
この場合、(1)の命題が偽となり従って自動的に(3)も偽となる。しかし、仮に(1)(2)の前提が正しいものと認めた場合、(3)の結論は論理的に出てくるという点で論証としては成立しているが非妥当と言える
<論証3>
(1)王女は今ムーンブルクかムーンペタにいる
(2)王女が今ムーンブルクにいるならば犬も今ムーンブルクにいる
(3)犬は今ムーンブルクにいない
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(4)王女は今ムーンペタにいる
この場合、(1)(2)(3)が命題、(4)が結論の命題となる。(1)(2)(3)は真。(4)もその主張は妥当と言える。従ってこの論証は合格と言える
<論証4>
(1)ピカチュウは電気を操るモンスターである
(2)テトリスで一度に消せるブロックは4つまでである
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(3)春麗は女性格闘家である
この場合、(1)(2)(3)は全て真である。従って論証として妥当になるかというとならない。それは結論が前提から出てくる形式(form)になっていないからだ。つまり、論証の正しさと命題の真偽は区別する必要がある事がこの例からわかる。論証としては非妥当と言える
論証の形式(form)
論理学において論証の正しさは形式(form)のみにより決定する。論証の内容(contents)によるものではない
内容(contents)は抽象化し、表現の意味を剥ぎ取ったうえで形式(form)のみで結論が正しく出されるかを判断できるようにする
「形式」は論理結合子と文字によって置き換えられた単純命題によって作られる
<論理式の論理結合子の紹介>
かつ | \(\wedge\) | conjunction | && |
または | \(\vee\) | disjunction | || |
もし~ならば | \(\rightarrow\) | conditional | |
でない | \(\neg\) | negation | != |
例として上記の論理結合子と単純化した命題を使って以下の論証を変換してみる
<論証>
(1)マリオは今ジャンプをしているか今走っている
(2)マリオが今ジャンプしているならばクッパは今ジャンプする
(3)クッパは今ジャンプしていない
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(4)マリオは今走っている
まず「マリオは今走っている」という命題を文字\(P\)に置き換える
<論証>
(1)マリオは今ジャンプをしているか\(P\)
(2)マリオが今ジャンプしているならばクッパは今ジャンプする
(3)クッパは今ジャンプしていない
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(4)\(P\)
次に赤字部分の「か」を同じ意味になる「または」に書き換える
「クッパは今ジャンプする」を\(Q\)に置き換える
「マリオは今ジャンプしている」を\(R\)に置き換える
<論証>
(1)\(R\)または\(P\)
(2)\(R\)ならば\(Q\)
(3)\(Q\)でない
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(4)\(P\)
赤字の部分は論理結合子に置き換える事が出来る
<論証>
(1)\(R \vee P\)
(2)\(R \rightarrow Q\)
(3)\(Q \neg \)
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(4)\(P\)
この様に論証はコンテンツを剥ぎ取られ記号化される。この状態を論理式という
論証の妥当性をはっきりさせる為に論理学では内容を抽象化して形式のみに注目できる形にして論理定項の振る舞いを検証し論証の妥当性をハッキリさせる
(何故、記号化するのか?:自然言語では命題の論理形式が文法によって意味が覆い隠されることがあるから)
(補足:これはゲームのアルゴリズム、特に敵の動きや思考パターンを作る時に重要な考え方になってくる)