ページ内コンテンツ
相加相乗平均の関係相加相乗平均の関係は以下の状態で変化しない \(\displaystyle\ \frac { x+y }{ 2 } \ge \sqrt { xy } \quad \quad x,yは0以上の実数。x=yの時、等号が成立する\) この関係は微分を利用して平方根を求める等の漸化式を作る際に非常に重要となる考え方な為、疑いもなく理解しておく必要がある 単純なケースから確かめていく ① \({ r }^{ 2 }>0\quad \quad rが0以外の実数である場合、この式は成立するか?\)
② \({ \left( a-b \right) }^{ 2 }>0 \quad \quad aとbが0以外の実数である場合、この式は成立するか?\)アバウトな検証用コードを書く。条件を満たすランダムなa,bの値を50回生成して式を検証
結果。「aとbが0以外の実数であれば式は成立する」事が確認できた ③\({ { a }^{ 2 }-2ab+{ b }^{ 2 } }>0\quad \quad \quad aとbが0以外の実数である場合、この式は成立するか?\)③の式は②を展開したものになる。理屈で考えると成立しないとおかしいが一応検証する left = (a * a) - 2f * a * b + (b * b); とする。結果。成立している事が確認できる ④ \({ { a }^{ 2 }+{ b }^{ 2 } }>2ab\quad \quad \quad aとbが0以外の実数である場合、この式は成立するか?\)③の式から2abを右辺に移項させる。この時、左辺と右辺、不等号の関係が成立するかという意味の大きな変化がある。検証してみる
結果。成立する事が確認できた。不等号を挟んだ移項は成立する。単純な移項の場合、不等号の向きが変わることはない ⑤ \({ \left( a+b \right) }^{ 2 }>0\quad \rightarrow \quad { a }^{ 2 }+2ab+b^{ 2 }>0\quad \rightarrow \quad \quad { a }^{ 2 }+b^{ 2 }>-2ab\)\(aとbが0以外の実数である場合、この式は成立するか?\) これも普通に考えると成立する事が予想できる。コードの16行目を right = -2f * a * b; に書き換えると確認できる。結果、成立する ⑥不等号の向きが反転する条件は?右辺と左辺が挟む不等号(<や>)の向きが変わる時はどんな時か?これは両辺にマイナスのついた数を掛けると反転する 例:④から考えると… \(\displaystyle\ ({ a }^{ 2 }+b^{ 2 })\times \left( -2 \right)\) \(>\)\(\left( 2ab \right) \times \left( -2 \right) \quad \quad \rightarrow \quad \quad -{ 2a }^{ 2 }-2b^{ 2 }\)\(<\)\(-4ab\) \(\displaystyle\ ({ a }^{ 2 }+b^{ 2 })\times \left( -\frac { 1 }{ 2 } \right)\) \(>\)\(\left( 2ab \right) \times \left( -\frac { 1 }{ 2 } \right) \quad \quad \rightarrow \quad \quad -\frac { { a }^{ 2 }+b^{ 2 } }{ 2 }\) \(<\)\(-ab\) コードで確かめる際は、15行目~18行目を left = -2f * a * a + -2f * b * b; right = -4f * a * b; print (string.Format ("a={0} : b={1} : {2} < {3}", a, b, left, right)); if (!(left < right)) { もしくは left = -((a * a) + (b * b)) / 2; right = -a * b; print (string.Format ("a={0} : b={1} : {2} < {3}", a, b, left, right)); if (!(left < right)) { として確認する。結果、成立する ⑦\(\left( { a }^{ 2 }+{ b }^{ 2 } \right) \times \frac { 1 }{ 2 } >2ab\times \frac { 1 }{ 2 } \quad \quad \rightarrow \quad \frac { { a }^{ 2 }+{ b }^{ 2 } }{ 2 } >ab\quad \quad \quad aとbが0以外の実数である場合、この式は成立するか?\)15~18行目を以下に書き換え確認。成立する left = ((a * a) + (b * b)) / 2f; right = a * b; print (string.Format ("a={0} : b={1} : {2} > {3}", a, b, left, right)); if (!(left > right)) { ⑧\(\frac { a+b }{ 2 } >\sqrt { ab } \quad \quad \quad aとbが0以外の実数である場合、この式は成立するか?\)ここで式を少し書き換える。単純に\(a\)としていた文字を\(x\)に、\(b\)としていた文字を\(y\)にして"定数から変数を扱う式に切換える" 式は\(\displaystyle\ \frac { a^{ 2 }+b^{ 2 } }{ 2 } >ab\) から \(\displaystyle\ \frac { { x }^{ 2 }+y^{ 2 } }{ 2 } >xy\) へと変化する ここから変数\(x\)と\(y\)に、\(x=\sqrt { a } ,y=\sqrt { b } \) を代入して再び定数の式に戻す 式は \(\displaystyle\ \frac { \sqrt { { a }^{ 2 } } +\sqrt { b^{ 2 } } }{ 2 } >\sqrt { ab } \quad \quad \quad \rightarrow \quad \quad \quad \frac { a+b }{ 2 } >\sqrt { ab } \) となる この式が成立するかを確認する。コードを以下に書き換え実行してみると… left = (a + b) / 2f; right = Mathf.Sqrt ((a * b)); print (string.Format ("a={0} : b={1} : {2} > {3}", a, b, left, right)); if (!(left > right)) { 結果、「成立しない!」が表示されてしまう。どうやら計算が合わない。このやり方は駄目だという事がわかる。何故、駄目なのか? right = Mathf.Sqrt ((a * b)); の部分で問題が発生している事に気が付く。原因は\(a,b\)の値と、右辺\(\sqrt { ab }\)の式にあった。この式を満たそうとする場合\(a,b\)の値はどちらも0以上の値にする必要がある。何故ならMathf.Sqrt関数は引数(パラメータ)がマイナス実数の場合、虚数として扱い計算結果にNaN(ヌル)を返す。これで計算が狂っていたのだ <虚数が発生する一例> Mathf.Sqrt ((-2 * 5)); → Mathf.Sqrt (-10); お互いを掛け合わせると-10になる値。2乗すると-10になる数。\(\sqrt { -10 } =?\) そんなものは、この世に存在しない。従って関数は「解なし」NaN(ヌル:からっぽのデータ)を返す。つまり、入力は\(a\ge 0\)、\(b\ge 0\)にする必要が出てくる。変数\(x,y\)に代入した定数が\(\sqrt { a },\sqrt { b }\)なのだから、これは発生して当然の不具合だったのだ。式の変形により平方根の虚数を避けるために前提条件を変える必要が出てきた memo:(機会が出てきたら調べる)
⑨ \(\frac { a+b }{ 2 } \ge \sqrt { ab } \quad \quad \quad a\ge 0,b\ge 0の実数である場合、この式は成立するか?\)これを確認してみる。条件を虚数を避ける様にする為、コードの18行目を以下に書き換える if (!(left >= right)) { それと31、32行目を以下に書き換える a = Random.Range (0f, 100f); b = Random.Range (0f, 100f); これを実行して結果、成立することが確認できる この章の冒頭にあった相加相乗平均の関係の数式は 変数になったことで値が条件を満たしていれば式は常にこの関係を恒久的に保つ事が確認できた ちなみに、この左辺右辺の数式は放物線上の2点の接線の交点の座標でも見かける |